岸和田市「照友会」 大神神社の大注連縄
岸和田市「照友会」 大神神社の大注連縄
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奈良の大神(おおみわ)神社は日本書紀・古事記にその起源が記されている日本最古の神社。由緒ある酒造りの神様です。一般的には神社の注連縄(しめなわ)は向かって右側が綯(な)いはじめの太い部分になるようにしますが当蔵はその逆。左側に綯いはじめの部分がくるように掲げます。それは厚く信仰する大神神社に倣っているからです。

岸和田市「照友会」 大神神社の大注連縄

ひと昔前、その大神神社の神職の方から大注連縄を造る藁(わら)の入手先を探していると相談を受けました。戦後稲作の機械化が進み、刈り取りの際コンバインで細かく裁断するため原料の長い藁が不足して困っておられるとのこと。そこで背丈が高く大注連縄に最適な酒米の王者・山田錦に目をつけられ、産地である兵庫県中部に近い当蔵に話を持ち掛けて下さったのです。降ってわいた光栄なご依頼を何とかしたい一心で、つてを頼り姫路の蔵元・本田さんにお願いして、以来大量の山田錦の藁が毎年手配されることになりました。

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その後、この10メートル近い大注連縄は、かの有名な岸和田のだんじり祭の方々が造っていると聞き、一度制作現場を見たいと長年思い続け、ようやく今年念願がかない車を走らせました。師走の日曜の早朝にもかかわらず集まった地元の老若男女約70名。昭和29年から67年続くこの行事の陣頭指揮をとるのは崇敬団体「照友会」の樽谷さんご一家です。

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長老の日出夫さんとリーダーの道弘さんを中心に、藁を脱穀機で整える班、本体を力づくで束ねる班、飾り房をこしらえる班、食事を準備する班、それぞれが年に一度の奉仕、仲間同士あうんの呼吸で、時には寡黙に時には世間話で盛り上がりながら、最後は大蛇がうねるように巨大な藁束を三つ編みにする大仕事。やがて日が沈むころ大注連縄は完成。だんじり祭にかかわる人々の絆を目の当たりにした一日でした。

岸和田市「照友会」 大神神社の大注連縄 岸和田市「照友会」 大神神社の大注連縄

一週間後、大注連縄を奉納する日。大型トラックが大神神社の二の鳥居に到着。お祓いの後、白半纏に袖を通した岸和田の男達が荷台から大注連縄を引き出し、いっせいに肩に担いで参道を歩み始めた瞬間、思わず目頭が熱くなりました。

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そして拝殿前に集まった一般参拝者もいっしょになって手綱を引き、真新しい大注連縄は空に向けて吊り上がり支柱に据え付けられ、周囲は崇高な気配に包まれたのです。この尊い営みがいつまでも続くように、また良き新年が迎えられるようにと祈りつつ、感動の余韻が漂う境内をあとにして奥丹波への帰路についたのでした。

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生産している素材
大注連縄

大注連縄とともに新年を祝う製品
新春槽揚荒走
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