氷上特別支援学校
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1997年の暮れ、搾りたて新酒に、初めて「奥丹波」と名付けました。当時はラベルもまだ未完成、一升瓶を和紙で包み、この新しい酒銘を焼印した木の札をかけて蔵出ししました。実はこの木の札、あるお寺で見かけた焼印入りの小さな木のトレイがアイデアの原点。その素朴な風合いが気に入って調べたところ篠山養護学校の製作と分かり、当蔵用の木札もお願いして焼いてもらうことになったのです。その後まもなくこの仕事は兵庫県立氷上特別支援学校にバトンが渡され、以後十数年にわたり当校の高等部の生徒を中心に一枚一枚丁寧に仕上げられています。

初夏と秋口に、特別支援学校内に期間限定の「木札工場」が開業します。実社会での就業を想定し、チャイムとともに朝礼、ラジオ体操、そしてタイムカードを押して現場に入る生徒たち。黒板には作業スケジュールが掲示され、木の札に穴を開ける、焼く、煤(すす)を落とす、磨く、それぞれの工程を班ごとにこなしていきます。

態度は真剣そのもの、黙々と作業に没頭します。時折失敗もあり、先生の厳しいチェックに落胆する声が聞こえますが、今度は温かい励ましを受けて意気揚々と持ち場に戻っていく。

強い熱気を伴う工程や、立ちっぱなしの辛い環境にもめげません。それどころか「木札工場のしんどさからみたら、あとはたいしたことはない」「修行ですわ」などと冗談めかして言ったりして…。そう、彼、彼女らはいつだって前向きに仕事に立ち向かうのです。

特別支援学校の校長先生はおっしゃいます。「生徒たちにとって木札は誇りなのです。山名酒造の一番人気の商品で、世間にたくさん出ると知っていますからね。だからしんどくても頑張れる。」それは私たちも同じです。会社で一丸となって仕込んだとっておきの新酒に、氷上特別支援学校の木札職人たちが一生懸命焼いてくれたエンブレムをかけるとき、本当に誇らしく嬉しい気持ちになります。
さあ今年も「木札」の蔵出しがはじまります!

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